健治郎会長が語る、「昔の話、まあ聞いちょ」(2003.6.25連載開始)
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その26【おかいさん】(2007.9.10)
 前回茶がゆのことにふれたので、それを書けとリクエストがありまして(ほんまかいな!)・・・
 吉野家では古くから朝食には茶粥ということが先祖からの習わしでした。「ちゃがゆ」などといわずに「おかいさん」というとそれは茶粥のことでした。
 おかずは当然漬け物です。春は菜種の塩漬け、夏には茄子(なす)や胡瓜(きゅうり)の朝漬けか、他に沢庵の古漬けを細かく刻んでその上にショウガを擦り下ろして醤油をかけたもの、秋には夏の茄子や胡瓜の漬けのこりの古漬けを塩出しをしたもの、これもショウガが良く合います。冬には大根の新漬けなどで、おかいさんを食べてました。
 夏には、冷やご飯を少しよそってその上に熱いおかいさんをかけるとちょうど食べ頃の温度になって、さらさらさらさらと、いくらでも食べられます。
 おかいさんと言う物はまことに美味しいもので、茶の葉には番茶を使っていました。毎年春に新茶が採れる頃になりますと大きな袋に入れたものを買っておき、それを使う分だけを取りだし、泡烙(ほうらく:土の素焼きでこしらえ、大きさは直径約25〜30cm位のお皿のような)に入れ、それを炭火の入った「かんてき=七輪」の上に乗せ炒っていました。これで非常に香ばしい香りの焙じ茶ができていました。それを木綿で作った名刺大ほどの巾着袋(ちゃんぶくろ=茶袋?)に炒った茶をいれ、両手の手のひらにのせ、軽く揉んでそして、小量のお米に釜や鍋に水を多めに入れて炊くのがおかいさんです。しばらくすると、湯が煮上がって来ますので蓋を取って、釜や鍋の中の煮上がる米を見ながら、米に花が咲かないように炊きあげます。
 さらったとしたおかいさんが極上です。たまに、薩摩芋を入れば芋粥(いもがい)、また小麦粉の団子をいれたもの、何れも美味しいおかいさんでした。
 このおかいさんの香りががなんとも言えない香ばしい、おなかにやさしい良い食べ物で、いまだに私の家におきましても、昼におよばれで重い食事を頂いたときには「晩はおかいさんやな」が合い言葉。きまっておかいさんとなっています。昼に食べた重い食事も夕げの食事に食べるおかいさんで胸がすくものです。
 それと別に茶を使用せずそのまま炊くのが白粥(しらかい)でして、おかいさん(茶粥)は常食として、白粥は病気のときによくたべたものです。いまはどれぐらいの家庭でおかいさんを食べているのでしょうか?
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吉野 健治郎
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