健治郎会長が語る、「昔の話、まあ聞いちょ」(2003.6.25連載開始)
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その28【アメとサケ】(2008.1.24)
(アメ)
 幼稚園に入っているか、その前かは忘れましたがこんな事がありました。
 当時の小遣いは母からもらうのが1日に1銭(100銭で、やっと1円になります)か2銭程でした。その小遣いは殆ど駄菓子屋でお菓子を買うのに使いました。ではその1銭で何が買えたかと言いますと、直径約25ミリ位の大きさの芋飴が一つ買えました。
 その飴玉を口にいれれば、口いっぱいになって口を閉じるのが精一杯です。ですから、ウッカリしてしまいますと口から飴が飛び出し地面に落ちてしまいます。すると、どうしたでしょう。それを素早しこく拾って口の中へ。そして土の付いたあめ玉を口の中で「ころころ」転がし、飴についた細かな砂利を舌で飴から外しペッと唾と砂利を吐いて、そのまま食べてしまったものです。
 とにかく1日の小遣いは1銭しかもらえないので、私としては大切なあめ玉ですから汚いと言うことなどを考えた事がありませんでした。
 そんな事をしても腹をこわしたこともなく、元気にこの歳まで育った私です。

(サケ)
 これも私が幼稚園に入るかそれ以前のころのはなしです。
 父は、毎夕食の際には晩酌をしていました。当時は眼鏡店を始めての年月も浅く、そのうえ当時はメガネを使用する人も少なく、特に女性の方などは近視のメガネなど掛けることは以ての外と言う時代ですから、収入も僅かなものです。お酒を一升瓶で買える家計ではありませんでしたから、夕食の前には一合の銚子を持って酒屋さんに買いに行かされたものです。うちだけでなく当時は、酒の量り売りは普通でした。
 しかし酒というもの、子供ごころにも本当に良い香りのするものですなぁ。何時も何時も夕方にはその香りを嗅ぎながら買って帰ります。酒屋さんでは持って行った銚子に酒が溢れるぐらいまで一杯に入れてくれますので、その銚子を親指と人差し指で摘まんで、こぼさないように抜き足差し足で家まで運びます。これは毎日の私の仕事のように母に言いつけられ、一合の酒買いに酒屋通いをしていました。
 ある日いつものようにあんまり良い香りがするものですし、どれだけ美味しいものかと毎日思っての事が重なって、銚子の口に自分の唇をそっとそえ、微かに唇を濡らしてみました。香りの割に何か辛く味も良くなく、大人ってこんなもの飲んで何が美味しいんや、と思いつつ家に帰ったとたん、父が「健治郎、おまえ酒飲んだな?」
「いや、飲んでへんけど…」
「嘘言え、鏡見てみ。顔にちゃんと書いてるわ」
鏡を見ると真っ赤になって、からだもふわふわ浮かんでいました。
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吉野 健治郎
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