健治郎会長が語る、「昔の話、まあ聞いちょ」(2003.6.25連載開始)
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その5【ビンの底】(2003.8.18)
 昭和19年にもなると戦況もいよいよ悪化し、国内では物資の不足が深刻になってきました。日用品もそれをつくる原材料がなくなりました。でも、ないと困りますから違う材料で代用してつくるようになって、しまいには学生服は紙でつくっていました。
 メガネもご多分に漏れず、レンズの光学材料の代用品として、ラムネやサイダーの壜、ビール壜などで作られたことがありました。壜の底の部分を利用してレンズの度付け加工をしたのです。上の円筒形の部分は、またほかに用途があったようです。近視の強いめがねのことを指して「牛乳ビンの底」といいますが、本当にそれをやっていたのです。
 めがねレンズのほとんどが、大阪生野の田島で造っていましたので、ある日レンズを取りに行ったとき、職人さんに聞いた話しです。
 ビール壜の底で造ったレンズは戦場での日除けレンズに使うとか。そしてサイダー壜やラムネ壜で造ったレンズは、薄い青味のある美しいレンズでした。
 しかし、どの壜レンズを通して見ても、景色が「ゆらゆら」と見えますが、さぞ目が疲れたことでしょうな。現在では考えられないことです。あれで鉄砲が命中できたのでしょうか。
 うそのような話しですが、私が実際に目にしたことです。
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吉野 健治郎
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